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【書評】『ザ・クリスタルボール』を読んで、あなたも在庫問題に取り組んでみよう

エリヤフ・ゴールドラット氏著書である『ザ・クリスタルボール』を読みましたので、紹介します。

ザ・クリスタルボール

「売れ残るリスクを抱えてまで在庫を持つべきか、たとえ売り逃すリスクがあっても在庫を減らすべきか」

小売業としては当然直面するだろう『売り上げと在庫のジレンマ問題』である。本書はその問題に対して一つの答えともいえるヒントを投じている。

本書を読む前に知っておくべきことがある。それは本書が物語形式になっているということである。とっつきにくく分厚い参考書なんかよりずっと読みやすい。つまり読み始める前に覚悟を決める必要はないのである。

さて、主人公であるポールはハンナズショップ・ボカロトン店(ボカ店)の店長である。彼は結果が出せないことに悩んでいた。彼が担当している店は、地域のチェーン10店舗のうち、利益率で8位という不名誉を飾ってしまうのだ。

そんな折、予想もしない不幸が彼を襲うことになる。ボカ店の在庫を管理していた倉庫が、水道管の破裂によって水浸しになってしまったのだ。幸い商品への被害は少なくて済んだものの、また別の問題が発生する。倉庫に置いていた在庫をどうするか、というものだ。近くの貸倉庫は値段を通常の2倍に上げ、コストがかかりすぎる。そこに救世主が現れる。ボカ店が属する南フロリダの地域倉庫マネージャーである、ロジャーだ。彼の管轄である地域倉庫にボカ店の在庫を置いてもらえることになった。しかも足りなくなった商品の補充は毎日行ってくれるという。

ここで現れる「毎日」がジレンマを解決するキーワードの一つだ。商品の補充は年に一度より、月に一度の方が望ましいし、週に一度より毎日の方がよっぽど望ましいのだ。それは「在庫を抱えるリスク」と関係してくるのだが、その課題をポールはどう解決するだろう。

ロジャーの提案を受けて、ボカ店の在庫を地域倉庫に置いておくとして、店内にはどのくらいの在庫を置いておくべきだろうか。ポールはスタッフとの議論の末、平均売り上げの20日分を店内にはおいておくことに決定した。しかし今までは約4か月分の在庫を持っていたのである。4分の1以下の在庫で果たしてやっていけるのだろうか。

少ない在庫で店をやっていけるのか? 売り上げはどうなるのか? 不安しかなかったボカ店であったが、なんと奇跡が起きた。

ボカ店が地域チェーン店中で月間売り上げ1位になったのだ。

なぜなのか? 別段特別なことをしたつもりはポールにはなかった。ただし店の状態としては異常のままであっただけだ。では何が売り上げを伸ばした要因なのだろうか? 今の異常な状態がそれに関わっているのだろうか?

本書では、読者がポールとともにその謎を解いていく。物語が展開していき、登場人物が気づき、考えていく。その思考プロセスを同時に追っていくことで、読者としても非常に理解しやすい作りとなっている。物語の中に引き込まれていくのだ。そしてなんといっても「限界なんて、ないんだ」という締めくくりの言葉。小売業だけではなく、私たちの生活全般にも言えることではないだろうか。限界を定義してしまうのはほとんどの場合私たち自身によるものである。その習慣化してしまった悪習をなくすことで今よりもっと理想の自分へと近づけるようになると思う。

本書で受け取るメッセージは、小売業が抱えるジレンマの解決法だけではないのである。

※本記事は昔とった杵柄よろしく、かつて書いたものです。ご承知おきください。