寒冬の澄み切った夜空に浮かぶ星々。
その一瞬を切り取って、写真に残したくなりますよね。
だけど星景写真や天体写真って結構難しいもの。
なぜならば星は動いているからです。(正確には地球の自転ですよね)
暗い夜空の星を写すため、カメラの露光時間を長時間とした場合、それにともなって星の軌跡がうつることになり、星を点として撮影することは困難となります。
そのため、星空を撮影する場合は「赤道儀」と呼ばれる道具を使い、星の動きに合わせてカメラを自動で動かす必要が出てくるのです。
そうすることで、長時間の露光が可能となり、非常に鮮明な星空を撮影することができるんですね。
しかしながらこの赤道儀、結構高い。
近頃だとポラリエという製品を筆頭に、比較的安価なポータブル赤道儀が発売されていますが、赤道儀やその他周辺機器を揃えるのはコストが高いです。
でも、PENTAXのカメラなら大丈夫なんです!
そう、PENTAXなら!
お手軽に星景写真の撮影を実現させてくれるのが、O-GPS1という機器。
これをカメラのホットシューに装着することにより、カメラにアストロトレーサーという撮影機能を追加することができ、この機能を使うことで手軽に星景写真が撮れるんです!
ありがとうO-GPS1!
- 1.PENTAX GPS UNIT O-GPS1ってどんなの
- 2.PENTAX GPS UNIT O-GPS1で出来ること
- 3.アストロトレーサーの使い方
- 4.群馬県の赤城山でファーストライトしてきた
- 5.おわりに
1.PENTAX GPS UNIT O-GPS1ってどんなの
百聞は一見にしかず。どんなものか見てみて下さい。
K-3に装着するとこんな感じ。なんだかパワーアップ感があって、格好良い!
このかっちょいいO-GPS1の造形の良さを共感していただいてから、じゃあこいつで何が出来るのか、ってご紹介をします。
2.PENTAX GPS UNIT O-GPS1で出来ること
このO-GPS1で可能になることは4つあります。
- アストロトレーサー:簡易的な天体追尾撮影が可能になる
- 直線ナビ:現在地から目的地までの直線的なナビが可能になる
- 電子コンパス:カメラの液晶に電子コンパスが表示可能になる
- 写真への位置情報追加:撮影した写真へ位置情報を追加可能になる
これらの機能はPENTAXのカメラによって使える機能、使えない機能があります。
基本的に3と4はすべてのカメラで使えますが、1と2は機種によって分かれますので、ご自身のもので使えるかを確認してから買いましょうね。
GPS UNIT O-GPS1 | RICOH IMAGING
今回、星景写真を撮るのにわたしが活用したのが1のアストロトレーサーです。
こいつが優れものなんです!
どんな機能かというと、現在地とカメラの向きから星の動きを計算し、星が点として写せるようにカメラ本体のセンサーを動かしてくれるものなんですよ。これはカメラ本体のセンサーを動作させ、手ぶれ補正やダストリムーバル機能をもっているPENTAXのカメラ特有のもの。さすがPENTAX!
3.アストロトレーサーの使い方
早速O-GPS1をカメラに装着し、アストロトレーサー機能を使ってみましょう。
3.1.O-GPS1装着の下準備
O-GPS1に単4電池を1つ入れましょう。つまり、O-GPS1とカメラの電源は、別物なんです。
そうしたら上の写真を参考にするなどして、カメラ本体にO-GPS1を装着します。
確実に接続したら、電源ボタンを約1秒ほど押下し、電源をオンにします。
3.2.カメラの準備
まずカメラダイヤルをB(バルブ)にします
その後メニューからGPS設定を開き、バルブ撮影時にアストロトレーサーを有効にします。
あとは撮影したい地点で先程のメニューより精密キャリブレーションを行った後、三脚にセットし、露光を開始しましょう。
そうすればなんと不思議!
星が点像として写真が撮れます! (失敗することもありますが)
なお、きちんとGPSを検出できていると下の画像のように、画面右上に緑のマークが現れ、微妙だと赤いマークとなります。詳しくは取説をご確認あれ。
ガシガシアストロトレーサーを試して、星景写真を楽しみましょ。
4.群馬県の赤城山でファーストライトしてきた
じゃあ実際にアストロトレーサー機能を活用するとどんな写真が撮れるのか。
イイカンジに現像できた5枚+1枚だけ紹介します。もっとたくさん撮りましたが、イマイチのものがほとんどでした……。
まず1枚目は赤城山の新坂平駐車場から撮影したもの。
冬の大三角(おおいぬ座α星シリウス、こいぬ座α星プロキオン、オリオン座α星ベテルギウス)がわかりますね。
露光時間は120秒です。わりかしイイカンジに星が点になっています。
2枚めは赤城山の大沼湖畔に位置するキャンプ場から撮影したもの。
これは180秒露光(アストロトレーサー使用)と30秒露光(通常撮影)の2枚の写真を合成し、星と風景を合わせています。アストロトレーサーで撮影したものだけでは、下半分の大沼や山並みがブレブレになっちゃうんです。
3枚目も大沼湖畔から。冬の大三角のみを狙い、300秒というアストロトレーサーで可能な最大時間で露光したものです。中心部はなかなか点像になっていますが、周辺部は流れちゃってますね。
4枚目は天体写真っぽいのを撮ろうと思い、レンズの最望遠側で撮影したオリオン座のオリオン大星雲(M42)です。露光時間は60秒ですが、望遠(135mm:35mm換算で216mm)ってこともあり、周辺の星が流れているのがよくわかります。天体写真とまでなると、アストロトレーサーだけでは厳しいものですね。
5枚目は大沼湖畔から北西方向にカメラをむけたもので、露光時間は300秒です。
この写真のように、目立つ星がない方角で撮影する場合、そもそもピント合わせが困難。もはや何が撮りたかったの、っていう写真ですがそこはご愛嬌。たぶんデネブ? 周辺が写っています。
おまけとして、THETA Sを使って、大沼湖畔から撮影した写真がこちら。
冬の大三角形@赤城山大沼湖畔 - Spherical Image - RICOH THETA
ちなみに近くで火を焚いて語らっている人々がいましたね。楽しそうでした。
5.おわりに
O-GPS1があれば、手軽に星景写真や天体写真を楽しめます!
しかもセッティングも簡単!
PENTAXのカメラを使っているなら、試してみる価値はありますぜ。なにせ、新しいレンズを買うよりはオトクな値段ですからね!
だけど手軽な星景撮影なので、おもったよりも点像にならないこともあります。
そういうときは精密キャリブレーションを試してみて、再度トライしてみましょう。
百点満点の撮影とはなりませんが、それでもここまで気軽に星空が撮れるのはすっごくありがたいことです。三脚とO-GPS1があればどこでも屋外なら撮れますもん。
どうぞお試しあれ。